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2019-05-02

マイナーキーのダイアトニックコードや機能、ハーモニックマイナーとメロディックマイナーについて

Twitter上で、マイナーキーのダイアトニックコードや機能、そしてハーモニックマイナーやメロディックマイナーの違いについてご質問を頂きましたので、本日はその回答を書かせて頂きます。

まず、メジャーキーのダイアトニックコードについての予備知識を解説します。

メジャーキーの母体のスケールは7音の「メジャースケール」
並びは音の間隔が
「全全半全全全半」
となるスケールです。

キーがCメジャーキーであれば、「ドレミファソラシ」の7音スケールです。

ダイアトニックコードとはこの母体スケールの音を、
一つ飛ばしで重ねたコード7種の事です。

3音のコードであれば
「ド,ミ,ソ」
「レ,ファ,ラ」
「ミ,ソ,シ」
「ファ,ラ,ド」
「ソ,シ,レ」
「ラ,ド,ミ」
「シ,レ,ファ」
です。

ドレミファソラシの音に数字を付けますと、
1=ド、2=レ、3=ミ、4=ファ、5=ソ、6=ラ、7=シ
となります。
コードはローマ数字で
I、IIm、IIIm、IV、V、VIm、VIIdim
と表します。
中身としては、キーがCの場合、

「1=ド、3=ミ、5=ソ」は「I=C」
「2=レ、4=ファ、6=ラ」は「IIm=Dm」
「3=ミ、5=ソ、7=シ」は「IIIm=E」
「4=ファ、6=ラ、1=ド」は「IV=F」
「5=ソ、7=シ、2=レ」は「V=G」
「6=ラ、1=ド、3=ミ」は「VIm=Am」
「7=シ、2=レ、4=ファ」は「VIIdim=Bdim」

となります。
この中で、「I」のコードがトニックという機能で、
キーの中心、終着点を感じさせる機能となります。

「V」のコードは、ドミナントという機能で、
トニックへの強い解決力を持つ機能のコード
となります。
これは、「V」のコードが「I」のコードへ進む際に、
【「7=シ」→「1=ド」】という強い解決感の音の流れ
と、
低音部分の
【「5=ソ」→「1=ド」】という強い解決感の音の流れ
を持つことでその様に感じます。

3つ音を重ねたコードは
「5=ソ、7=シ、2=レ」
は「V=G」
でしたが、4つ音を重ねると
「5=ソ、7=シ、2=レ、4=ファ」
で「V7=G7」
というコードができます。
この「V7」も同じドミナント機能で、先ほどの音の流れに加えて
【「4=ファ」→「3=ミ」】という強い解決感の音の流れを持ち、
更に強い解決感を持ちます。

「IV」コードは「V」コードへの進行を促す機能をもつ、サブドミナントという機能です。

ダイアトニックコードの中には、各々の機能の代理の機能を持つ、「代理コード」が存在しています。(同じ様な音の流れを感じるコードということです。)
例えば
「IV」の代理コードは「IIm」
ですので、
「IV→V→I」という進行を代理コードにすると、
「IIm→V→I」というコード進行となります。

他の例としては、
「I」の代理コードは「VIm」や「IIIm」ですので、
「IV→V→I」という進行を代理コードにすると、
「IV→V→VIm」というコード進行となります。

ここまでがメジャーキーでの予備知識でした。
それでは、次にマイナーキーでの解説を致します。

まずマイナーキーのダイアトニックコードですが、
マイナーキーの母体のスケールは7音の「ナチュラルマイナースケール」です。
これは並びは音の間隔が
「全半全全半全全」
となるスケールです。

つまりキーがCマイナーキーであれば、
「ドレミbファソラbシb」
の7音スケールです。

キーがAマイナーキーであれば、
「ラシドレミファソ」
の7音スケールとなります。
今回は整理しやすいようにCマイナーキーを軸に解説します。

マイナーキーのダイアトニックコードも、この母体スケールの音を、
一つ飛ばしで重ねたコード7種です。

3音のコードであれば
「ド,ミ,bソ」
「レ,ファ,ラb」
「ミb,ソ,シb」
「ファ,ラ,bド」
「ソ,シb,レ」
「ラb,ド,ミb」
「シb,レ,ファ」
です。

ドレミbファソラbシbの音に数字を付けますと、
1=ド、2=レ、b3=ミb、4=ファ、5=ソ、b6=ラb、b7=シb
となります。
(数字の場合は左側にシャープやフラットを付けます。)
コードはローマ数字で
Im、IIdim、bIII、IVm、Vm、bVI、bVII
と表します。

中身としては、キーがCマイナーキーの場合、

「1=ド、b3=ミb、5=ソ」は「Im=Cm」
「2=レ、4=ファ、b6=ラb」は「IIdim=Ddim」
「b3=ミb、5=ソ、b7=シb」は「bIII=Eb」
「4=ファ、b6=ラb、1=ド」は「IVm=Fm」
「5=ソ、b7=シb、2=レ」は「Vm=Gm」
「b6=ラb、1=ド、b3=ミb」は「bVI=Ab」
「b7=シb、2=レ、4=ファ」は「bVII=Bb」

となります。
この中で、「Im」のコードがトニックマイナーという機能で、
マイナーキーの中心、終着点を感じさせる機能となります。

「Vm」のコードはドミナントマイナーという機能で、
トニックマイナーへ緩やかに解決する機能となります。

「IVm」のコードはサブドミナントマイナーという機能で、
ドミナントマイナーや後述するドミナント、トニックマイナーなどのコードへ比較的強く解決感を持って進行する機能のコードです。
これはサブドミナントマイナーが次のコードへ進む際に、
【「b6=ラb」→「5=ソ」】という強い解決感の音の流れ
を持っているからです。つまり
「5=ソ」の音を持つ次のコードに強く解決するコード
として利用できます。

さて、ここまででドミナントマイナーは出てきましたが、ドミナントは出てきていません。もしドミナントを使いたいと思ったらどうしましょうか?
ドミナントマイナーコードは
「5=ソ、b7=シb、2=レ」は「Vm=Gm」
でしたから、
「b7=シb」
を半音上げて
「7=シ」
にすれば、
「5=ソ、7=シ、2=レ」は「V=G」
のドミナントを作れますよね。
そうすると
「IVm→V→Im」
の様なコード進行ができます。

では、その際のメロディなどはどうすれば良いのでしょう?
その解決策としては、コードと同様に、ナチュラルマイナースケール
「1ド、2レ、b3ミb、4ファ、5ソ、b6ラb、b7シb」

「b7=シb」
を半音上げて
「7=シ」
にすれば、メロディがフィットします。
この半音上げた
「1=ド、2=レ、b3=ミb、4=ファ、5=ソ、b6=ラb、7=シ」
というスケールが
ハーモニックマイナースケール」というものです。
これは
「ドミナントのハーモニーの為に臨時に作ったマイナースケール」
なのでこの様に呼ばれるという訳です。

メジャーキーの時と同様に、マイナーキーでも、3つ音を重ねたコードは
「5=ソ、7=シ、2=レ」は「V=G」
でしたが、4つ音を重ねると
「5=ソ、7=シ、2=レ、4=ファ」で「V7=G7」
というコードができます。
この「V7」もマイナーキーでも同じドミナント機能です。

さて、ここで、ハーモニックマイナースケールを弾いてみたり歌ってみて下さい。
「5=ソ、b6=ラb、7=シ、1=ド」
の部分が、少し怪しげですよね。
これは音の間隔が
「半音、三度、半音」
という様に少し歌いにくい独特な音程になっているからです。
その為、ドミナントコードの時にもう少し歌いやすくする為に、
「b6=ラb」
の音も
「6=ラ」
の音に半音上げてしまおうとしたのが
「メロディックマイナースケール」
というスケールです。音は、
「1=ド、2=レ、b3=ミb、4=ファ、5=ソ、6=ラ、7=シ」
となり、
「b3=ミb」以外は、ほぼメジャースケールと同じですね。

ここまでで、マイナーキーのダイアトニックコードの機能を解説できました。
マイナーキーでも代理コードがあり、例えば、
「IVm」
の代理コードは
「IIdim」や「bVI」「bVII7」
ですので、
「IVm→V→Im」
という進行を代理コードにすると
「bVI→V→I」
というコード進行となります。

ここからが大切な部分ですが、
ポップミュージックではメジャーキーの中にマイナーキーを一時的に借りてくることが非常に多いです。
例えばこの様な感じ。

サブドミナント→サブドミナントマイナー→トニック
IV→IVm→Im

サブドミナント→サブドミナントマイナー代理→ドミナント→トニック
IV→bVI→V→I

サブドミナント→ドミナント→サブドミナントマイナー代理→ブドミナントマイナー代理→トニック
IV→V→bVI→bVII7→I

サブドミナント→トニック代理→トニックマイナー代理→サブドミナント
IV→IIIm→bIII→IIm

その他ポップスですと機能をそこまで厳密に考えずに、とにかく突然にマイナーキーのコードを一時借りてくることも多いので、是非混ぜてみて新しい組み合わせを楽しんでみて下さい。

ちなみに、何故わざわざこの様に数字で表したり、母体のキーや、機能などをいちいち考えるのかというと、もし面白いコードの流れを思いついたとして、そこにどんなメロディが合うのか?アレンジでのカウンターメロディーで美しい流れや、自然な流れで使えるテンションは?…と、この様に、どんな音を合わせたら良いか迷ってしまいますよね。
そのガイドとして、この様に考えるのが一つのガイドとなるということです。
是非、色々試してみて頂ければと思います。

もし分からないことなどがございましたら、できる範囲でお答え致しますのでどうぞご連絡下さい。

おまけ資料:よく使用される代理コード

メジャーキーのダイアトニックコードの代理コード(3和音)
トニック:I
 →トニック代理:IIIm, VIm
サブドミナント:IV
 →サブドミナント代理:IIm

マイナーキーのダイアトニックコードの代理コード(3和音)
【ナチュラルマイナースケール】
トニックマイナー:Im
 →トニックマイナー代理:bIII
サブドミナントマイナー:IVm
 →サブドミナントマイナー代理:IIdim, bVI
ドミナントマイナー:Vm
 →ドミナントマイナー代理:bVII
【ハーモニックマイナースケール】
ドミナント:V
 →ドミナント代理:VIIdim

メジャーキーのダイアトニックコードの代理コード(4和音)
トニック:Imaj7
 →トニック代理:IIIm7, VIm7
サブドミナント:IVmaj7
 →サブドミナント代理:IIm7

マイナーキーのダイアトニックコードの代理コード(4和音)
【ナチュラルマイナースケール】
トニックマイナー:Im7
 →トニックマイナー代理:bIIImaj7
サブドミナントマイナー:IVm7
 →サブドミナントマイナー代理:IIm7(b5), bVImaj7, bVII7
【ハーモニックマイナースケール】
ドミナント:V7
 →ドミナント代理:VIIdim7
【メロディックマイナースケール】
ドミナント:V7
 →ドミナント代理:VIIm7(b5)

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